外資企業の日本での立ち上げ
ある外資企業のカントリーマネージャーと話しました。
日本法人を立ち上げ後、数ヶ月経過したところだそうです。今、社員が約10名、更にあと半年で10名加え、20名程にする予定ということです。お話を聞いて、それを実現する為の売上額の実現が凄く大変そうだな、と思いました。ご本人はそれを実現するだけのポテンシャルも実績もお持ちの方なので、当然、半年後にはこの目標をクリアされると思いますが、実現が大変なのは間違いありません。
具体的に何が大変か?をお話する前に、まず、ここで前提条件として、人件費を中心とした20名の経費から最低限の売上目標を設定してみたいと思います。エイヤッですが、一人3000万円として、人件費&経費だけで最低でも6億円の利益が必要です。実際はこの数倍の売上目標が設定されると思いますが、ここでは分かりやすく、利益=売上として6億円とします。どこの会社もそうですが、本社からの指示は「6億円の売上を達成しろ!」だけです。細かな戦略や戦術はそれほど触れず、「結果を出すこと」だけです。で、何が大変か?は、この6億円の売上の「戦略を作り、戦略通りに実行すること(実行させること)」が大変だ、ということです。当然ですが、これ6億円全て創出営業で行わなければなりません。この外資IT企業が、たとえ最新セールステック企業でであったとしても、最新RPA企業であったとしても、現在0(ゼロ)に近い売上額を、0から1にし、2にし…とゼロから売上を創りだすことは、さすがにセールステックにも、ロボットにも苦手です。前回の投稿で述べた通り、この売上を創り出す部分、全部を人がやらなければなりません。また、20名にやらせなければなりません。そこでまず、6億円の売上をどこから?、どう作るか?という戦略が非常に重要になります。
まず、「ターゲットはどこ(どこの会社)か?」です。
「何処にこの新しい製品ソリューションを必要としている企業があるか?」を、仮説を立て、見極め、複数企業をノミネートし、ターゲットとしてアプローチを開始する必要があります。理想は、売り上げの確保もさることながら、導入後に導入事例とすべく、業界においてネームバリューのある企業を狙うことです。
次に、そのターゲットの「(その会社の)誰にアプローチするか?」です。
キーマンにアプローチする必要があります。なので最初のコンタクトポイントがだれであれ、ヒアリングしながらキーマンを把握し、キーマンに接触する為の手掛かりを探り得なければなりません。同時に、ここで会う人会う人には、その会社、事業部門、製品等々、会ったその人が感じている様々な課題をヒアリングします。
更に、「どうアプローチするか?」です。
キーマンが分かり、同時に仮説課題もそこそこ入手できたとします。そこで、その仮説課題から仮の解決策を導き出した上で、キーマンに接触します。例えば、「貴社のXXXXという課題を、弊社のOOOOソリューションで解決できますので、30分だけ説明のお時間下さい」的な感じです。
実際の創出営業の活動は、こんなに簡単でも無いですし、安易でもなく、まさに前回投稿の旅客機の離陸でも触れた「複雑な手順」が必要ですが、今回、この投稿で伝えたいことはこの複雑な手順に関してではなく、一番知って貰いたいそのポイントとは、この外資企業が日本市場で成功するか否かを決める大事なこれらの創出営業活動を、最初の「2~3ヶ月のうちに目処を付けなければならない」ということです。立てた戦略をたった数ヶ月で確実に実行し、同じくたった数ヶ月のうちに「売上高」という結果を出す必要があるということです。その為の時間は「数ヶ月」で、余裕は無く、失敗は決して許されないということです。
ターゲット企業は複数になります。業界や業種も違う会社を最低でも10社以上ノミネーションし、わずか数名で、戦略を立て、アクションを開始するところまでを3ヶ月位で立ち上げないといけない、という話です。そうしないと、逆算して12ヶ月後までに社員を養うだけの売上を確保できません。
この外資企業のカントリーマネージャーさんはこれをリーダーシップを発揮して、必死になって進めていらっしゃるので問題ないのですが、この戦略、プロセスや活動は、外資企業だけに限ったことでもなく、どこの会社であっても本来、常に取り組むべき、共通事項である、ということを自身の会社に当てはめて考えて頂ければと思います。例えば、こういう活動を毎年の経営方針に組み込み、「今年度、新規顧客を5社発掘、売上5億円確保」みたいな感じで、一切特別なことではなく、会社を存続させ、会社を成長させる為には必要不可欠な事として、毎年、真摯に取り組み、行動に移し、12ヶ月後の結果を元に、翌年度の経営方針に改善を加えて臨む…そして、これを毎年毎年繰り返す、ということに、本来、愚直に取り組まなければならないハズだと思います。その取り組みを10年、20年と続ける中で、様々なノウハウ、スキル、実行力が社内に蓄積され、それが大きな差となって現れるのだ(まさに今、現れているのだ)とも考えることができます。
・・・しかしながら、今までこの手の取り組みを後回しにして来られ、今、このコロナ禍の状況下で後悔され「何とか今から逆転のチャンスを得られないか?」と考え、お悩みの方もいるでしょう。そこに気付けたならば、具体的な方法が分からなくとも、まず行動に移してみることが重要です。まだ変われます。まだ間に合います。是非、このピンチをチャンスに変えられるよう、行動を起こして下さい。今のこのタイミングは、間違いなく、会社を「変える!」またとないチャンスです。