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お知らせ

「聴くこと」の重要性

営業に関する投稿を何度か続けてきました。ここまで触れていませんでしたが、営業にはもう1つ大事なことがあります。それは「聴くこと」なのですが、これ、多くの営業パーソンが出来ていない、基本中の基本なので少し触れておきたいと思います。

営業さんが顧客を訪問する時、会社紹介パンフレットや製品資料を持参し、挨拶、自己紹介、そして即、資料説明に入るってパターン、多いですよね。で、特に技術に詳しい営業さんなんかですと、製品に関して隅から隅まで一気に説明して、「自分は伝えるべきこと全て、丁寧に伝えられた。完璧!」と気持ち良く自己満足するわけです。会社に戻って上司に「今日、どうだった?」と聞かれた「はい。十分に理解頂き、気に入って頂けました!」なんて回答してしまいがちです。

これ自体は絶対ダメという訳ではないのですが、もう少し改善する必要があると思うわけです。・・・と優しく言いかけましたが、正直言うと、これではなかなか売れないのですね(まあ、たまには売れるかもしれませんが)。

理想的なアプローチは、まず「聴くこと」です。先ほどの挨拶、自己紹介に続けるのは「聴くこと」なんですね。以前の投稿でも触れましたが、顧客の課題を聴くことが先決です。ただ「課題はなんですか?」と初対面の方にストレートに聞いても「えーと、特に…ありません」とツレない返事しか返ってきません。そこで聴く為に色々と考え、準備して、面談に挑む必要があるわけです。

例えば、「お使いの○✖︎△製品、今まで利用していて不満を感じた点はどこですか?」と聞きます。相手が「・・・」と黙り込んで考えたとします。

そこであなたはどのくらい「・・・」の沈黙に耐えられますか?、「・・・・・」(5秒位?)でしょうか?

この時、相手はずっと考えています。それはまだ「もやっとした漠然的な感覚」で、次にその感覚を言語化する為に言葉を見つけ、整理しています。もしそこで何か話かけると相手の思考が分断されてしまいます。なので、ここはじっと我慢して相手から出て来る言葉を待つ必要があります。その間は何秒になるかは分かりませんが、長い沈黙があります。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

こんな感じでしょう。それでも、相手が言葉を発するまで、その沈黙に耐え、待つ必要があります。ほとんどの営業さんはこの沈黙に耐えられず話を始めてしまいますが、ここで待てる営業さんは、他の人よりも顧客の情報(課題や気づき)を的確に掴み、より価値のある提案をすることが可能になります。

なぜ、こんなにも考える時間が必要か?と言うと、相手は今までそんなことを考えたこともなかったから、です。ちょっと例が悪いですが、僕らが始めて新しい言い回しを英語で言うとしたなら、1文を言うのにも時間をかけ、何度も言い換えたりしながら、「How… How many times …days…do you… in a week… do you go to school?」…なんて、やっと言えるのと一緒です。

一方、営業さんはそれこそ毎日毎日、話している製品のことですから、言葉もすらすらすぐ出て来ます。その感覚で「簡単に答えられるだろう」と勝手に考えてしまっています。なので少しでも「・・・」沈黙が続くと、相手を助け、同時に自分の知識で相手に示唆を与えようと話を始めてしまうわけです。でもこれ、余計なお世話で、且つ、せっかくの「顧客が紡ぐ言葉を得る」貴重なチャンスを奪うことになります。この「言葉を紡ぐ」時間が顧客には必要です。営業さんがそれを待つ余裕をご自身に身に着けられれば、今までとは違い、格段に顧客情報(課題)を得ることが可能になります。

IT業界にIBMという会社があります。IBMは昔「Think(考えろ)」と言いました。その後、同じくIT企業のシスコシステムズという会社が、「Think(考えろ)」の前に、まず「Listen(聞け)」と言ってます。これは「聞かなければ何も始まらないから、まず聞け」という意味です。この位、聞くことは重要です。

ちなみに、文中で「聴く」と「聞く」を使い分けていますが、「聴く」は「意識し集中して聞く」という意味で、敢えて「真剣に聞き取ろう」という意味を込めて使用しています。

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